城内は朝から女官達が慌ただしく走り回っていた。
私はドレッサーの前で自分の姿を見、軽く溜息を吐いた。
今日。私はラスラと結婚する。
最近の日課となっていた事。
バルコニーに出てひとつ伸びをする。
城下の朝の喧騒を耳に入れる事から私の朝は始まる。
今朝聞こえてくるのは、城内で話す侍女達の会話。
「ダルマスカとナブラディアがひとつになる…。素敵なことね」
「えぇ。でもどうも政略結婚っていうのがね。アーシェ様がお可哀想だわ」
「…!!大きな声で言ってはだめよ!」
皆がそう話していることは分かっていた。一国の姫として生まれたからには…と。
だから、なんなのだ。
結果的にそうなったのであって、私は幼い頃からラスラを慕ってきたし、今もこれからもずっと愛している。何故。みんな、そういう目でしか見てくれないの?
私は今、幸せなのよ…!!
婚礼衣装で大聖堂へ赴く足取りは重かった。 自分の中の葛藤に区切りがついていない。
大きな扉を開けると、そこには見なれた2つの顔。
右にはウォースラ。目を細めるその顔にはいつもの厳しい表情は無い。
左にはバッシュ。いつもより一層穏やかな笑顔がそこに在り。
2人は同時に跪いた。
言葉は無くとも、私は自分が祝福されていることを全身で感じた。
身も心も引き締まった私は大きく深呼吸し、2人の間に佇む大聖堂の門を潜った。
目線の先には微笑むラスラ。
私は…今、とても幸福です。
続き