アーシェ17歳 バッシュ34歳 ウォースラ36歳

城内は朝から女官達が慌ただしく走り回っていた。

私はドレッサーの前で自分の姿を見、軽く溜息を吐いた。
今日。私はラスラと結婚する。

最近の日課となっていた事。
バルコニーに出てひとつ伸びをする。 城下の朝の喧騒を耳に入れる事から私の朝は始まる。 今朝聞こえてくるのは、城内で話す侍女達の会話。

「ダルマスカとナブラディアがひとつになる…。素敵なことね」
「えぇ。でもどうも政略結婚っていうのがね。アーシェ様がお可哀想だわ」
「…!!大きな声で言ってはだめよ!」

皆がそう話していることは分かっていた。一国の姫として生まれたからには…と。

だから、なんなのだ。
結果的にそうなったのであって、私は幼い頃からラスラを慕ってきたし、今もこれからもずっと愛している。何故。みんな、そういう目でしか見てくれないの?
私は今、幸せなのよ…!!

婚礼衣装で大聖堂へ赴く足取りは重かった。 自分の中の葛藤に区切りがついていない。

大きな扉を開けると、そこには見なれた2つの顔。
右にはウォースラ。目を細めるその顔にはいつもの厳しい表情は無い。
左にはバッシュ。いつもより一層穏やかな笑顔がそこに在り。
2人は同時に跪いた。
言葉は無くとも、私は自分が祝福されていることを全身で感じた。

身も心も引き締まった私は大きく深呼吸し、2人の間に佇む大聖堂の門を潜った。
目線の先には微笑むラスラ。

私は…今、とても幸福です。


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