ギィさん。今日はお天気もよく、クランのみんなも元気です。
私はいまだにガリ−クランのみんなとユトランド中の依頼を受けてまわってます。
あれからオークションでチャンプにもなったから、かなり有名になったんですよ。
季節は緑陽だけれど、モーラベルラに来ているから少し肌寒いです。
…今日は特別な日なので、こっそりクランのみんなには内緒で外出したいんですけど。
「フリメルダ、今日は1日休みだ。皆にも伝えたが、好きに過ごしていいぜ」
「有難う、シド。せっかくお天気もいいし、ちょっと出掛けてこようかしら」
リーダーのシドは相変わらず面倒見がよく、皆から慕われています。
やはりただ者ではないので、鋭いんですよね。
あまり隠し事ができるようなタイプではないです。
誰かが悩んでいてもすぐに気付かれるとか。
一緒に過ごしたギィさんも、それにはすぐ気付いたでしょ?
ハーディはご兄妹がいらっしゃるラバナスタに帰っていきましたけど、たまにクランに顔を出すんですよ。 もう永久メンバー決定で、いつでも彼の席は空いているんです。
アデルはルッソが帰ってしまって少し寂しそう。 普段はそんなそぶりは見せないんだけど、彼女もあまり素直になれない子だから。
そう、ルッソは無事に元の世界へ帰っていきました。 いまだに彼の笑顔を思い出すと勇気付けられます。 あなたと同じように大切なものを残していってくれた子でした。
さて、みんなそれぞれ町に散策に行ったみないなので、私も日が高いうちに出掛けようと思います。
*
ギィさんも見えますか?このモーラベルラの高台から見える遺跡。 このデルガンチュア遺跡にもう一度、来たかったんです。 あなたと初めて出会ったこの場所に。
あれから世の中は少しづつ変わっていったけど、ここはあのときと変わらぬまま。
あなたと剣を交えたあの時から…。
「…………フリメルダ」
「…シド!来ていたんですか?いえ、私がここに来ることが分かっていたんですね」
「あぁ。水くせぇじゃねぇか、フリメルダ。みんなあんたのギィへの想いはよく分かってる。
正直にここに来たかったって言ってくれていいンだぜ?」
「そうか、最近モーラベルラ近辺で依頼を受けていたのは、みんな私に気を遣ってくれてたんですね…」
「行くンだろ?デルガンチュア遺跡へ」
「はい」
シドは大きく頷くと、私の両肩に手を置いて『バリア』を掛けてくれました。
「おまえの強さならこのあたりのモンスターでも対処できるだろうが、一応な。
遺跡の中はミストも濃いし、俺は暫くこの辺りに居るから何かあったら呼べ」
「有難う、シド。では、行ってきます」
私はシドの心遣いに感謝し、小さく頭を下げた後、遺跡に向かって歩き出しました。 遺跡の中に続く階段を一歩ずつ上る度にあのときの記憶が甦ってくる。
…ギィさんが聞いたらあまりいい気を悪くされるかもしれないんですが。
あのとき、私を呼び出したのはルクだと思ってたんです。
私の事を割り切る為に呼び出したのだとしたら…そう思うと足が重かったのを覚えています。
でも、待っていたのはあなたでした。そしてあなたの瞳を見た途端、分かったんです。 この身体を治してくれたのは、あなただと。
*
デルガンチュア遺跡の王者の間。ここに来ると敬虔な思いに胸がいっぱいになる。
私はシドやアデル程感覚には優れていないけれど、たぶんあのときよりミストが濃い。
………来ているんですか? ギィさん。
心地よいミストが私を暖かく包み込む。目を瞑ればあなたの剣さばきを思い出す。
嬉しかった、幸せだった、そして誇らしかったあの一瞬。
互いの剣を合わせたときの満足そうなあなたの表情が忘れられない。
いまだに、いえこれからも私の中で生き、私を生かし続けるあなたを大切にしていこうと思います。
ギィさん、大好きです。
-END-
(09.5.24)