お父さんは超心配性

(もしFFTAなシステムのFFTA2だったら)


嫌な日に敵に出会ってしまった。 ヴァンは禁止事項を確かめ、頭を垂れてウンザリした。

「今日のワールド・ロウ(法律)は白魔法禁止だってさ。 うっかり使わないように気を付けろよ、パンネロ」
「ケアルも駄目なのよね…。今回私、出番無いかも」

戦闘が始まる前にジャッジがチョコボを駆り立て高台に上がり、 違反者のチェックをする為、その目を光らせた。

「あ、ラッキー!パンネロ、今日のジャッジ見てみろよ!」

言われてジャッジの姿を見上げると、見覚えのある牡牛を象った兜。

「今日は小父さまね!ちょっとは見逃して貰えるかも」

ピピ〜ッ!! ジャッジから鋭い笛の音が響き渡る。
巧みにチョコボを操り、ジャッジがパンネロの隣に降り立った。 その懐からイエローカードを出す、その瞬間。

「待って、小父さま!」
「待ったは無しだ、パンネロ。君は今、ヴァンにケアルを掛けただろう?」
「だってあんなに怪我してるんですよ? これでもギリギリまで我慢してたんです! 小父さまはヴァンの身に何かあってもいいんですか?」
「むぅ…。しかしだな」
「今回だけです、…ね?」

パンネロは胸の前で両手を組んで、ジャッジの兜の奥の目を見つめる。 腕組みしてう〜んとひとしきり唸った後、 ジャッジは『今回だけ』を認めることになる。

え?ちょっと待てよ!
と当然の文句を言おうとした敵さん方にジャッジは睨みを利かせた。 牢屋送りにされては適わないので、 敵はしぶしぶ引き下がったのであった。

ジャッジ達の詰め所にて。 ジャッジザルガバースは数々の書類に目を通しながら、 度々眉を顰め、頭を抱えていた。 束になった書類の中から手紙を手にとり、 目の前のジャッジに突き付けた。

「ジャッジガブラス。某所より苦情が来ているぞ。 卿の判定に対する不服の申し立てだ」
「またか。違反常習者程、そのような申し立てをしてくるのだ」
「…例によって、またパンネロ嬢絡みなのだが」

パンネロの名前が出てきた途端、彼は肩をぴくりとさせた。

「彼女が卿のお気に入りだとは知っているがな。 贔屓がすぎると我々の沽券に関わる。…分かるな?」
「確かにその自覚はある…。だが私は彼女が心配なのだ」

兜に手を掛け、ゆっくりとそれを外しながら溜息を吐く。 その表情は厳しいジャッジガブラスではなく、 かつての仲間を想う、バッシュその人であった。

「これから彼女が出陣する際は、私がジャッジを務めさせていただく。 このままでは彼女の為にも良く無いからな」

ザルガバースの言葉にバッシュは彼に掴みかかった。

「そ、そんな!私の数少ない楽しみを取らないでくれ!」
「任務を楽しむな、ジャッジガブラス」
「彼女が危険なとき、卿は助けてやらないだろう?」
「ジャッジは彼等の戦いに手は出せないと知っているだろう? それに我々の助けが必要な程、彼等は弱くはあるまい」

ザルガバースは兎に角、バッシュを落ち着かせようと宥めた。

「分かってないんだ、卿は。FFTA2の彼女の衣装を見たか? あんなに可愛らしい衣装…!! なんと白タイツだぞ!? ドクター・シドの白タイツとは訳が違うんだ! 萌えだ、萌え!! 隣接マスに変なムシが寄って来たらどうするんだっ!?」
「…そんな事考えているのは卿くらいのものだ」
「いや、実際にあったんだ。私は見逃さなかったぞ! 物を盗むフリしてパンネロのお尻を触っていったのだ」
「まさかとは思うが…」
「うむ。もちろん、その輩にはレッドカード出して監獄行きにした!」

はぁ…。
最早言葉も無くしてザルガバースは胸を張るバッシュを眺め、 胃薬の在庫はまだあっただろうか、とキリキリする胃を押さえた。

「………そんなに心配なのならな。 彼女にレッドカードを出して卿の側で保護すればよいではないか」
「…!! そうか、その手があった。 さすがに頭がキレるな、ザルガバース!!」

バッシュは破顔すると、兜をひょいと掴み、意気揚々と詰め所を後にした。

「な! 本当に実践する奴があるか! 誰かジャッジガブラスを止めろ! ………あと、胃薬を買ってきてくれー!!」

このすぐ後、パンネロは身に覚えの無いルール違反で、 しばらくバッシュの元に好待遇で迎えられることとなる。



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